「経営者保証」の外し方
経営者保証ガイドラインで定められた、経営者保証の解除に必要な3つの要件
経営者保証ガイドラインで定められた、経営者保証の解除に必要な3つの要件は以下の通りです。
1. 法人と経営者の分離・区分
これは、私混同を防ぐための要件です。
- 私混同とは、会社のお金や資産を個人のもののように使うような行為を指します。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 会社のお金で私的な物品を購入する
- 会社の資産を個人で利用する
- 会社の経費を個人の交際費に流用する
- これらの行為は、会社の財務状況を悪化させるだけでなく、金融機関の信用損失にもつながるため、厳しく禁止されています。
- 法人と経営者それぞれが、独立した財務状況を持っていることを示す必要があります。具体的には、以下のような対策が有効です。
- 私的な出費は個人の口座から行う
- 会社の資産は適切に管理し、私的な利用は厳禁する
- 会社の経費は全て領収書を発行し、適切に計上する
2. 財務基盤の強化
これは、会社が返済能力を持っていることを示すための要件です。
- 具体的には、以下の財務指標が良好であることが求められます。
- 自己資本比率: 自己資本が総資産に占める割合。一般的には20%以上が目安とされています。
- 当期純利益: 1年間の営業活動で得た利益。赤字ではなく、黒字であることが望ましいです。
- 返済流動比率: 流動資産で短期借入金を返済できる割合。一般的には100%以上が目安とされています。
- これらの指標に加え、将来の業績見通しも考慮されます。業績が安定的に成長していくと見込まれる場合は、たとえ現時点の財務指標が十分でなくても、保証解除が認められる可能性があります。
- 財務基盤を強化するためには、以下の施策が有効です。
- 収益性の向上
- コスト削減
- 資金繰りの改善
3. 財務情報の開示
これは、金融機関が会社の経営状況を正確に把握できるようにするための要件です。
- 具体的には、以下の情報を開示する必要があります。
- 定時的な財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)
- 事業計画
- リスク管理体制
- 財務情報は、正確かつタイムリーに開示する必要があります。虚偽の情報を開示したり、必要な情報を隠したりすることは、ガイドライン違反となります。
- 財務情報の開示方法としては、書面によるものだけでなく、オンラインシステムなどを活用するのも有効です。
上記3つの要件を満たすことができれば、経営者保証の解除が認められる可能性が高くなります。
なお、経営者保証の解除は、金融機関の判断によって行われます。 上記の要件を満たしていても、必ずしも解除されるとは限りません。
補足
- 経営者保証ガイドラインは、2016年に策定され、2024年3月に改訂されました。
- ガイドラインは、中小企業庁、金融庁、日本銀行、全国銀行協会、商工会議所全国連合会などが共同で策定しました。
- ガイドラインの対象となるのは、年商5億円以下の中小企業です。