流動比率と当座比率、どちらが資金繰りの安全性を見る指標として適切か?

流動比率と当座比率、
どちらが資金繰りの安全性を見る指標として適切か?

中小企業経営者の皆様、こんにちは。 資金繰り改善の財務コンサルタントの西澤俊吉です。

皆さんは、自社の財務状況を把握するために、様々な指標を参考にしているかと思います。
その中でも、流動比率当座比率は、短期的な支払い能力を測る上で重要な指標です。
しかし、この2つの比率、どちらがより正確に資金繰りの安全性を測ることができるのでしょうか?

流動比率と当座比率、その違いとは?

まず、両者の違いを簡単に説明しましょう。

  • 流動比率:
    流動資産(現金、売掛金、棚卸資産など)の合計を流動負債(1年以内に支払うべき借入金、未払金など)の合計で割った数値です。
  • 当座比率:
    当座資産(現金、売掛金など、すぐに現金化できる資産)の合計を流動負債の合計で割った数値です。

流動比率は、棚卸資産も含めた全ての流動資産で計算するため、より包括的な指標と言えます。
一方、当座比率は、棚卸資産を除外するため、より短期的な視点で現金化能力を測ることができます。

資金繰りの安全性を見るなら、どちらが適切?

では、どちらが資金繰りの安全性を見る指標として適切なのでしょうか?

結論から言うと、どちらか一方ではなく、両方の比率を比較検討することが重要です。

  • 流動比率:
    会社全体の短期的な支払い能力を示します。
    数値が高いほど、短期的な債務を支払う能力が高いと言えます。
  • 当座比率:
    現金化しやすい資産で短期的な債務をどれだけ支払えるかを示します。
    数値が高いほど、より安全な状態と言えます。

一般的に、当座比率は流動比率よりも低い数値になります。
これは、棚卸資産はすぐに現金化できないためです。
もし、流動比率は高いのに当座比率が低い場合は、棚卸資産の回転が悪かったり、不良在庫を抱えている可能性があります。

なぜ当座比率が重要なのか?

当座比率が重要な理由は、棚卸資産にリスクが潜んでいるからです。

  • 不良在庫:
    売れ残った商品や、時代遅れの商品などは、すぐに現金化できず、資金を圧迫します。
  • 架空在庫:
    実際には存在しない商品を在庫として計上してしまうことで、財務状況が悪化することがあります。

これらのリスクを考えると、当座比率は、企業の短期的な支払い能力をより正確に反映していると言えるでしょう。

資金繰りを安定させるために

では、当座比率を改善するためには、どうすればよいのでしょうか?

  • 売掛金の早期回収:
    売掛金を早く回収することで、現金化を早めることができます。
  • 在庫の適正化:
    不良在庫や過剰在庫を減らすことで、資金の効率的な運用が可能になります。
  • 現金化しやすい資産の増加:
    預金や有価証券を増やすことで、当座資産を増やすことができます。

まとめ

流動比率と当座比率は、どちらも重要な財務指標ですが、それぞれ異なる側面を表しています。
資金繰りの安全性を見るためには、両方の比率を比較検討し、自社の財務状況を正確に把握することが重要です。

当座比率は、棚卸資産のリスクを考慮した上で、より短期的な視点で現金化能力を測ることができるため、資金繰りの安定化を目指す上では、特に重要な指標と言えるでしょう。

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