銀行は損益計算書のここを見ている
銀行等金融機関が損益計算書を見る際のポイントとは
銀行や金融機関が企業の損益計算書を見る際には、その企業の財務状況や将来性を総合的に判断するために、いくつかの重要なポイントに注目します。
1. 利益の推移と構成
- 経常利益の推移:
- 過去数年の経常利益の推移を見ることで、企業の収益力が安定しているか、あるいは変動が激しいかなどを把握します。
- 一定の成長傾向にあるか、あるいは減少傾向にあるかなども重要な判断材料となります。
- 各利益項目の構成比:
- 売上高に対する各利益項目の構成比を分析することで、企業の収益構造がどのようになっているか、また、どの事業セグメントが収益の中心となっているかを把握します。
- 特定の事業セグメントに過度に依存している場合は、そのセグメントの業績悪化が企業全体の業績に与える影響が大きくなる可能性があります。
2. 費用構造
- 売上高に対する販売費及び一般管理費の比率:
- 販売費及び一般管理費は、企業の規模や事業内容によって適正な比率が異なりますが、一般的にこの比率が高い場合は、コスト構造に改善の余地があると考えられます。
- 減価償却費の推移:
- 減価償却費は、固定資産の取得額と耐用年数に基づいて計算される費用であり、企業の設備投資状況を反映します。
- 減価償却費が増加している場合は、設備投資が活発に行われている可能性がありますが、逆に減少している場合は、設備投資が抑制されている可能性があります。
3. 特別損益
- 特別損益の発生原因:
- 特別損益が発生している場合は、その原因を詳しく分析します。
- 一過性の要因によるものか、あるいは構造的な問題によるものかによって、企業の将来性に対する評価が大きく変わってきます。
- 特別損益の金額と頻度:
- 特別損益の金額が大きすぎる場合や、頻繁に発生している場合は、企業の経営状況が不安定である可能性があります。
4. その他
- 営業キャッシュフロー:
- 営業キャッシュフローは、企業の通常の事業活動から生み出される現金の流量を示します。
- 営業キャッシュフローが利益よりも少ない場合は、利益が過大に見積もられている可能性があります。
- 利益の質:
- 利益の質は、一過性の要因によって発生した利益か、あるいは持続的な収益力に基づいて発生した利益かによって評価されます。
- 将来の業績見通し:
- 企業が公表している将来の業績見通しを参考に、今後の成長性や安定性を評価します。
銀行が損益計算書を見る目的は、企業が返済能力を有しているかどうか、そして将来にわたって安定的な収益を上げ続けることができるかどうかを判断することです。
そのため、上記のような多角的な視点から分析を行います。